リユースPCの選び方・チェックポイント・HDD・SSD

リユースPCの選び方・チェックポイント・HDD・SSD

つづいて、「ハードディスク」や「SSD」をチェックポイントとして取り上げます。バッテリーと同様に、HDDやSSDにも「寿命」があり、「消耗品である」という認識を持つ必要があるものですので、リユースのPCに内蔵されているものが古くなっている可能性も考えておかなければなりません。
 

HDD・SSDの寿命

HDD、SSD、それぞれの寿命は以下のとおりです。
・HDDの寿命は10,000時間(約5年)
・SSDの寿命は5~10年
こうして寿命を見ると、SSDは良いとしてもHDDの方はリユースPCとして売りに出されている時点でかなり寿命に近づいているケースもありうるでしょう。したがって、「HDDは新品に換装してあるかどうか」について、ショップに確認することをおすすめします。
換装してあれば当面は安心です。逆に換装しておらず、HDDが寿命に近くなっていたとしても、近年はHDDがかなり安くなっていますので、ショップに依頼するか自力で新しいHDDに換えることもできます。あるいは、いっそ高価でもSSDに換えてしまえば、それはそれで快適なPC運用が可能になります。
 
HDDの「死の予兆」
HDDでは、いよいよ寿命が近づいてきたとなったときに、よく注意を払っていれば気付くことのできる「サイン・予兆」が出されることがあります。PCの起動ができなくなったり、電源が入ってもOSが立ち上がらなかったりするともはや末期、というより手遅れで死んでいる状態で、データが助け出せるかどうかもあやしくなりますので、可能なかぎりそうなる前に予兆をとらえて、バックアップをして、新品に置き換えるようにしましょう。
・アプリケーションソフト使用中のフリーズが頻繁になる
・読み込みが遅い
・なんとなく焦げくさいにおいがする
・以前より明らかに起動に時間がかかるようになった
・カタカタ、カリカリという音が大きくなった
これらのような現象が起きたら、寿命がちかい予兆です。早めに新品のHDDを買ってきて換装しましょう。
また、「Crystal Disk Info」などHDDの診断をしてくれる無料のソフトもありますので、ご利用ください。
 
SSDは突然死する
HDDは死を予感してサインを出すこともあるのですが、もう一方のSSDは、実におそろしいことに、明らかに寿命には達していないはずなのに、何の予兆も示さず、突然にこわれてしまうことがあります。
 
SDDの特徴
SSD(Solid State Drive)は、「NAND型フラッシュメモリー」と呼ばれるメモリーにデータを記録します。PCの中にあるふつうのメモリーであるRAMは「ダイナミックメモリー」と呼ばれ、電力を通していないとデータを保持できませんが、「フラッシュメモリー」は通電していなくてもデータが保持されるため、記憶メディアとして使えます。SSDはこのフラッシュメモリーを利用した記憶メディアとしてHDDの代わりをつとめることができるのです。
SSDには次のような特徴があります。
 
・半導体のスイッチングのみで記録するので、メカニカルな動作部分がない
・そのため、振動も音もいっさい出さない
・HDDよりも消費電力が小さく、発熱量も少ない
・RAMよりは遅いが、HDDよりはずっと速い
・外からの衝撃や振動に対して、HDDよりも強い
 
こうしたすぐれた特徴により、SSD搭載のPCは全体的に使い勝手が良くなり、特に起動の時間が70%ほどで済むようになります。そのほかのアプリケーションソフトでも、ドライブにデータを読み書きしにいく動作が高速化されますので、体感的に少しわかるくらいに快適になります。
反面、次のような欠点もあります。
 
・容量あたりのコストがHDDよりも高い
・フラッシュメモリーによるものでは、データの書き込み・消去のたびに素子が劣化する
・そのため、アクセス頻度が高い使用法では寿命が短くなることがある
・フラッシュメモリーによるものでは、故障した際のデータ復旧ができないことがほとんど
 
SSDの突然死
時代の趨勢を見る限り、SSDが流行していることは明らかです。しかし、前述したとおり「何の前ぶれもなく突然こわれてしまう」こともあり、上記のように「故障するとデータが復旧できず、失われてしまうケースがほとんど」という、いまだ克服されていない重大な問題点もあることから、「導入は時期尚早」として見送るユーザーも多くいらっしゃいます。特にヘビーユーザーの方や、データの保全が重要な職種の方などは、HDDを選ぶことが多いようです。
 
HDDでもSSDでも日頃からのバックアップが大切
ハードディスクやSSDを新品に換装しているならばリスクは低下していますが、中古のものがそのまま入っているケースでは、当然のことながら故障のリスクは高めに見積もっておかなければなりません。
そして、SSDについては、明らかに寿命の時期ではないのに、何の前ぶれもなくクラッシュしてしまうことがあり、しかもデータを救い出せることはほとんどないという事実は、再度強調しておきます。
HDDに関しては、クラッシュしてもデータを救い出せることがあります。しかし救い出せないこともあるので、やはりHDDにせよSSDにせよ、データのバックアップは必要不可欠です。
常日頃から、データのバックアップ体制を構築しておくことが重要です。
 
バックアップ体制・キーワードは「二重」
「世の中に絶対はない」という言葉があります。また、「たまごをひとつの入れ物に盛るな」という言葉もあります。万が一を考える必要は常にあり、またリスクは分散すべきだということです。
あるHDDが3年の間にクラッシュする確率を「万が一」ということで仮に0.01%としましょう。同じHDDをもう1台用意して、内容を常に「ミラーリング」してバックアップする体制にしたとします。
すると、両方のHDDが同時にクラッシュする確率は、それぞれがクラッシュする確率の積・かけ算になりますから、0.01×0.01で0.001%、つまり「億が一」にできるのです。ここでは、片方のHDDがクラッシュしたときにすかさず新しいものを買ってバックアップ体制を修復するようにすれば、すべてのデータが失われてしまう確率はもっと下げられます。
ポイントは「二重」、そして体制修復はただちに、ということです。
 
USBメモリーはおすすめできない
USBメモリーをバックアップに使っている人をたまに見かけますが、あまりおすすめはできません。というのは、USBメモリーはSSDと同じ「NAND型フラッシュメモリー」を使っているからです。つまり、書き込みを繰り返すことによる劣化が生じます。
また、USBメモリーにはデータ格納に際しての「論理エラー」というソフトウェア的なエラーが起きることもあります。これが起きたときも、USBメモリーは使えなくなります。USBメモリーを買うと修復ソフトが付いてくることがありますが、このソフトは論理エラーの解決をこころみるソフトで、エラーの修復はできても、データの回復ができることはまれです。メモリーが初期化されて、また使えるようになるだけです。
こうしたリスクを考えると、USBメモリーをバックアップに利用するのは賢明とは言えません。
 
オンラインストレージの活用も
したがって、バックアップ体制の主力はHDDとなります。HDD2台体制を作れば、ほぼ安心でしょう。
これに加えて、オンラインストレージも併用するといいでしょう。Dropboxが代表的ですが、OneDrive、Google Driveなど、最近は選択肢も増えてきました。容量が限定的なので、すべてのデータをそっくりバックアップはできませんが、「ライブラリ」だけなら何とかなるでしょう。オンラインのクラウド上にありながら、手元のPC内のふつうのフォルダーと同じようにあつかえますので、とても便利です。
 
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